銀行や信用金庫などの金融機関が破綻(または倒産)した場合、あなたの預貯金は1000万円(とその利息)までしか保護されない制度です。
銀行に預けておけば絶対安心という常識はもう通用しません。国民1人1人が自分の財産を賢明に考えなければいけない時代です。
ペイオフは平成14年4月1日から実施されました。定期預金、定期積金、通知預金など定期性預金からスタートし、更に平成15年4月1日からは一般の普通預金、当座預金も対象に加わりました。
日本の金融機関は今、急速なデフレ経済と深刻な経済不振から体力が弱まっています。平成13年の1年間に倒産した信用金庫・信用組合は全国で46件、大手の都市銀行でも合併や吸収が続いていることはご存知の通りです。
そのため、金融機関の健全化と消費者保護のために今回のペイオフが実施されたわけです。
すでに1000万円以上の定期預金は小口化したり分散化したりして、本格的な資金移動が始まっています。
ペイオフのための心構えとして、個人または事業主の立場からいくつかの対策が考えられます。
1) 預貯金を他の銀行に分散する方法
安全の為2つ以上の金融機関に分散して頂いたほうが確実です。
たとえ預貯金が1000万円未満であっても金融機関が破綻すると数ヶ月間、貯金は保障されますが凍結されて引き出せなくなります。
このような事態に備えて分散しておいたほうがいいでしょう。
また、外国系の銀行の支店は対象外となりますのでご注意ください。
2)家族名義に分散する方法
1年間に110万円未満は贈与税がかかりません。
これを利用して家族名義に生前贈与というカタチで振り分ける方法もあります。
将来の相続税も含めてご検討されることをお薦めします。
3)郵便局・農協・漁協に分散する方法
銀行以外に郵便局・農協・漁協などの金融機関も別の制度で保護されていますのでこれらに分散することも有効です。
銀行が預金口座の中の様々な名前から同一預金者を割り出す作業のことです。
例えば”山田太郎さん”と”山田花子さん”が同一銀行で“同じ印章”を使っていれば”山田太郎さん”(または”花子さん”)の同一人物として一名に「名寄せ」します。
その二人の預金合計 が1000万円を越えていたらペイオフの対象となります。
また、個人経営の”山田商店”の預金と個人の”山田さん”の口座も名寄せされて同一口座と見なされます。
商店などの事業体は法人化されていない限りは個人と見られて「名寄せ」されるわけです。
税法上の贈与とは、送る人と送られる側の双方の意思表示(民法549条)があって実行(民法550条)され、成立します。
したがってお孫さん名義の通帳は必ずお孫さん名義の印鑑で登録することが重要です。
銀行では三文判や父母の印鑑でも受付けますが、税の判断をするのは税務署です。
毎年110万円以内の贈与であれば相続税の対象にならないと安心していても、その預金通帳の印鑑がお孫さん本人のものでなければ相続人の権利は認められません。
最も安全なのは、お孫さんの姓名(例:鈴木正美)を彫ることです。また姓(例:鈴木) で彫るのであれば、名(例:正美)で彫ったほうが安全です。